ジェイソン・オレンジと言う人は、本人も自覚していたけど決して歌の上手い人ではなかった。
90'sでソロを歌ったことはないし、再結成後TT4になってやっとソロ曲が作られたぐらい。だけれど、決して上手いとも言えない。(ジェイのこと嫌いだから言ってるんじゃないよってフォローするね)
Take Thatには口からCD音源のゲイリー・バーロウという天才的なボーカリストが居る。
独特のスモーキーボイスは昔から強みで、解散中にソロで歌唱力を鍛えて(主に声量)現在はゲイリーと並ぶメインボーカリストのマーク・オーエンも居る。
ダンス組で決して上記2人には並ばないけれど、Never Forgetという大曲を歌い上げその後はDJとして音楽的才能を開花させたハワード・ドナルドも居る。
ソロ歌手として絶大な人気となったロビー・ウィリアムズだって居る。
けれどジェイソンは、昔から今までダンス組という立ち位置にいたと思う。
ゲイリーとマークとロビーは本当に最強のボーカリスト集団だと思うし、売れる曲を出すにはそりゃあ上手い人がやるべき。売り出すときには生番組でパフォーマンスだったりアウォードで歌ったりするわけだし、そういう意味でもブレのない人がシングル曲を歌うのはマーケティング的に正解。
だから、ジェイソンのソロ曲はシングルカット曲ではなかったし、Progressに至っては隠しトラックのような状態になった。
こんなことを言っているけれど、私はジェイソン・オレンジという人がTake Thatには欠かせない人だと心の底から思っている。
どんな曲だってコーラスは必要だし、人が多ければその厚みも増えるし、何よりライブの時のジェイソンのダンスの優雅さ・しなやかさ・観客を笑わせる力はメンバー随一。
ジェイソンは歌手としてはメンバーの中では下かもしれないけど、ダンサーとしてはトップに君臨している。
もう一つ。
Progress及びProgressed作成時のドキュメンタリーLook Back, Don't Stareで、完成に近付くアルバム収録曲に一番駄目出しをしていたのがジェイソンだったのが私の記憶に焼き付いている。
そして製作にしっかり関わらないロビーを諌めていたのもジェイソンだった。
長年音楽業界に居るのだから、きっとジェイソンだって何が売れて何が売れないかを分かっているはずだろう。何せメンバーはイギリスで一番曲を売る人たちなのだから。でも得てして芸術家というのは自分の好みに突き進み商売を忘れやすいもの。
そこをジェイソンが補っていたように私には思えた。一番近いファン。一番近い購入者。一番近い外からの目線で、曲のクリーンナップをしてくれていたのかもしれない。
だからこそ、3人になってしまった新譜が私はちょっと怖かった。
ゲイリー・マーク・ハワードはそれぞれ曲も書けて歌える。それぞれ個性もある。
それが上手く混ざるのか、過剰になってしまわないかと。
そういう時に止めてくれた人がいなくなったから。
でもそんなのは杞憂だったし、いちいちファンが悩むほどのことでもなかった訳だ。
"These Days"は本当にいい曲だった。
15時40分にこそこそイヤホンで聞いていただけで惹きつけられた。
歌詞も覚えかけてきてすっかり毎日歌ってるしYouTubeのオフィシャルオーディオを延々ループしてる。あの早口部分はよく歌えないけど。
Take Thatは歌詞にメンバーへの思いを籠めることがある。
ShineにEight Lettersがそう。
だからThese Daysにも、何かがあると信じて。