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絵本作家ジョン・クラッセン トークイベントに行ってきた



"I WANT MY HAT BACK"とは、帽子が無いことに気付いたクマが森の動物たちに「僕の帽子知らない?」と聞いて回る絵本。
読者にはその犯人がすぐに分かるけどクマはなかなか気付かない。そして気付いた時の行動とは。
表情に乏しい動物たちのイラストと笑いを呼ぶストーリー、そしてちょっとブラックなラストが特徴のお話。あと何故か日本語版が関西弁。タイトルも『どこいったん』になってる。
この絵本を私が知ったのはdeviantARTの中。しかもオリジナルではなく、"I Want Mah Roes Back"という二次創作版。まあタイトルで分かるようにドクター・フーの二次なんだけど。
面白い話だと思って調べたところ絵本が元ネタだと知って、いつかオリジナルも触れたいなあとぼんやり思ってしばらく。
先日作者ジョン・クラッセンが来日してトークイベントをする、という話をツイッターで見かけたもんで、行ってきたレポみたいなもの。


場所は紀伊國屋書店新宿南店。の6階イベントスペース。
…イベントスペースなんてあったっけあそこ?と首を捻りながら向かったら、普段カレンダーとか特集コーナーを設けているところにありましたイベントスペース。

18時開始で17時半頃に行ったら20脚ぐらいある椅子は4つ既に埋まっていた。
赤いとんがり帽(絵本に因んでる)を被った店員さんから、クラッセンさんへの質問を書くペーパーと鉛筆(貰えた。イギリスの児童書出版社の名前入りだった)を受け取り着席。
 

ホワイトボードに「著者サイン用の本のご購入はお早めにどうぞ」とか書いてある。今お財布空だし…と諦める。


質問ペーパーには「私があなたの本を知ったのはとあるテレビドラマのパロディ版を見たからでした。そういう風に自分の絵本がインターネットミーム化したことについてどう思いますか?」というようなことを書いた。


18時を少し回ったあたりでイベント開始。気付いたら席は全部埋まり、立ち見も大勢いた。
クラッセンさんは野球キャップを被った無精髭の若い男性だった。柔和でよく笑う人だった。
あと通訳の男性(眼鏡を掛けたおじさまで素敵だった。でも紀伊國屋の人も英語喋れるのに何故通訳が別で必要なのか…と思ってたら、どうやらクラッセンさんの今回の来日中の秘書みたいな人っぽかった)と紀伊國屋の洋書輸入担当の女性(じんわりドクター・フー関連書籍を増やしてくれてありがとうございますって心の中でお礼言った)が一緒に登場して着席。
クラッセンさんはMacBook Airをスクリーンに繋げて、まずは"I want my hat back"の朗読をice breakとしてやってくれた。
もう内容は知っているのに、朗読で抑揚とかがつくとまるで初見みたいに感じた。会場も大笑い。

会場が温まったところで続いて学生時代のクラッセンさんの卒業制作にあたるアニメーション作品"An Eye for  Annai"を見る。

YouTubeにあったので内容割愛。
「僕はアニメーションの才能がないことに気付いていたから、なるべく動きの少ない作品になるよう努力したんだ」と笑いながら言ってた。孔雀(?)が向きを変えるところが一番難しかったらしい。
主人公のAnnaiが赤いのは自然界に色にして目立たせたかったから。そして名前には何の意味も持たない言葉にしたつもりが、調べたら日本語に「案内」という単語が存在していたと知って驚いた、という裏話もしていた。
これも絵本にする予定だったものの、背景変化が多く絵本には向かなかったのでそれは無しに。
ちなみに製作期間は6ヶ月(うち、「4ヶ月は失敗だらけ」だったらしい)


学生時代の話になったので、そこからクラッセンさんの経歴紹介に。
小さなアニメーション会社に入ったクラッセンさんは『コララインとボタンの魔女』の美術担当に。「ニール・ゲイマンが~」って名前が出た瞬間内心「yeaaaaahhhhhh!!!」ってなってた。
アニメーションが苦手、そして動くものを描くことも苦手なために家具とかそういうのが大得意だそうで、色んな種類の椅子やらタンスの設定画がスライドに出てきた。

その後ドリームワークスに入社、『カンフー・パンダ』の美術担当に。
ここでも建物や風景を描き続け、唯一描いた生き物はパンダ…の尻から足までだけ。
夜はフリーランスとして仕事を受け、BBCのバンクーバー・オリンピックの宣伝動画の風景担当になったりしていた。

これも動画あった。

動きが少ないものが好き、という話から船の絵をよく描くという話になる。
何作か船の絵本も描いたけれど、出版社から「つまらない」と全てボツに。「でも僕は好きなんだよ!」
同じく家具が主人公の話も描いたけれど、出版社から(ry 「でも(ry
この辺でみんな爆笑。
この家具の話、絵と相まって凄く素敵な雰囲気だったから私は本になったら欲しいなあ。


ここで質問コーナーに。
紙袋に質問ペーパーが入っていて、それをクラッセンさんが引いて回答するという形式。
覚えているものだけ書く。

Q:どうして"I Want My Hat Back"では○○(一応ネタバレ配慮)が悪役なのか
A:○○はトリックスターや悪いやつというイメージがあるから。日本では違うかもしれないけど

Q:何からインスピレーションを受けますか?
A:最近は写真から。絵もいいけど、どうしても真似してしまう可能性があるから見ていない

Q:日本の何歳ぐらいの子供に読んでもらいたいですか?
A:描いている時には子供に向けようと思って描いていない。そうすると何だか狙ったような話になってしまうから。でも子供が僕の本を読んでいることを知ると凄く嬉しくなる

Q:日本では"I Want My Hat Back"は関西弁で訳されています。これは望んだことですか、それとも出版社が勝手にやったことですか?
A:日本の出版社がやったことで、僕は後から知らされた。最初に知った時、英語ではこの本はとてもフォーマルな話し方をしているんだけど、日本のその方言はとてもカジュアルな話し方だと聞いて雰囲気が変わってしまうのではないかと心配になった。でも最終的には上手く行っているみたいだと思った。昨日翻訳版を聞いたけど日本の人たちに楽しんでもらえてるみたいだし。

ここで紀伊國屋の方から解説が入る。
昨日はカナダ大使館でイベントがあって、そこで"I Want My Hat Back"の英語・日本語版の朗読があったらしい。

その時にクラッセンさんが子供の頃好きだった本の話をしたそうで、その好きな本である『がまくんとかえるくん』の洋書ハードカバー版が登場。
「がまくんは凄く神経質で、かえるくんが居なくなることを常に心配し続けているんだ。本当はそんなこと起こらないのに。小さい頃この本が大好きだったんだけど、途中で話が完結しないまま終わったんだよ。最近作者のインタビューを読んだら、終わった理由を『二匹の関係が段々不健全になりそうだから止めた』って言ってて笑っちゃった」
…私今度図書館行ったらこの本読むね……

Q:小さい頃はどんな子供でしたか?
A:大人しかった

Q:好きな国、音楽、映画は?
A:好きな国?それは日本だよww(ですよねーww) 音楽は…凄く難しいな。(アメリカの60年代の歌手の名前を挙げたけど忘れた) 好きな映画は『シャイニング』

ここで質問コーナーは終了。
呼ばれなかったので少ししょんぼり。そしてふつふつと湧き上がる「じゃあサイン会の時に訊けばいいんじゃね…ほら本買っちゃいなよ…」という想い。


「あるものを見せたい」という前振りをされてスクリーンに表示されたのは、"I Want My Hat Back"の続編になる絵本。正確なタイトルは忘れたけど、"I Like to be Alone at the Night"みたいな感じ。
シカが色んな森の動物に「君は夜一人で過ごすのが好き?」と聞いて周り、「起こすなよ…」と動物たちに嫌がられるという話。そして結局シカは一人で過ごさない。前作と内容が絡みすぎている為に出版ならず、という普段は見られないお話。

もう一つが"I Will Trade You A Stick"。文字通り、棒を拾ったから物々交換で良い物をもらおうとするシカの話。これも出版ならず、と思ったらポーランドの出版社が買ってくれたらしい。
「ポーランドって棒で物々交換をする習慣があるからだって」って笑いながら言ってたけど本当なのかな…ww


ここまでで19時近くになったのでサイン会に移行。
そして私は耐え切れずダッシュで高島屋に駆け込みATMでお金を下ろして"I Want My Hat Back"を買ったのだった。


イベント自体は19時までということだったけどクラッセンさんは時間に余裕があるそうで、サイン会はゆっくり話や写真撮影をしながら進行。
最後尾になった私は結局19時40分ぐらいに順番が来た。

ということで、訊きたかった質問をつっかえながら英語で聞いてみた。

「質問してもいいですか?」
「いいよ」
「本当は質問ペーパーに書いたんですが、あなたが引いてくれなかったから」
「ごめんね」

「私が初めてあなたの"I Want My Hat Back"のことを知ったのは、ネットでとあるドラマのパロディ版を見たからです。その後他の映画とかドラマのパロディも見ました。質問は、そんなインターネットミームみたいになったことをどう思われているか、ということです」
「最初、出版社は凄く心配していた。ラストを凄く暴力的に描かれたり、僕たちの望まない内容にされる可能性があったからね」
「確かにそれは困りますよね」
「でも僕自身は嬉しかったよ。色んな掲示板で、色んな作品の二次創作として、僕の描いた話が新しい側面を見せるようになった。それが沢山の人達に楽しまれているのは良いことだよ」
「それなら良かったです」
「確かRedditかなあ、そこに"I Want My Hat Back"がスキャンされてアップされたんだよ。それがきっかけだったと思う。でも最後のページだけはその投稿主は上げなかった。そのお陰で僕の絵本とは別物になっていったんだと思う。暴力的にもならなかったしね」
「私が見たのも最後のページが無いものでした。今日朗読の時に最後の部分に少し驚きました」
「ドクター・フーのやつとかも最高だったよ」


……分かるでしょう、この瞬間の私の感覚。
全力で「私が見たのはそのドクター・フーのです!!ローズのです!!」って声を大きめにして言っちゃったよ。
クラッセンさんもちょっと楽しそうだったから良かったけど。
「あれは名作だね!」って言ってましたよ、作者さん…!


私も一緒に写真撮影をして、握手。
「質問に答えてくれてありがとうございました」って言ったら「こちらこそ来てくれてありがとう」って笑顔で答えてくれた。



サインはこんな感じ。
何故…カメ…最後尾=遅いってことなのか…



サイン達筆すぎて読めないにゃん…
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